自己愛
わたしの髪は黒い。
肌は黄ばんでいる。
瞼は重たく、中学生で止まった身長、むくみ体質の下半身デブだ。
わたしの外見を一言で表すなら、”100%日本人”。
西洋文化に憧れ、目を大きく見せる努力をし、脚が長くなればと、願って生きてきた。
日本では、二重、小さい鼻と口、小顔、色白、モデル体型を兼ね備えている者が美のヒエラルキーの上位に属せる。だからみんな糊で瞼を折り畳んで固定し、人工的にまつ毛を植え、日々ダイエットに勤しむのだ。
わたしもそう生きてきた。26年も。
だけど、わたしたちは一体誰になろうとしているのか。
この体も、顔も、名前も、存在を戸籍に刻んでおきながら、必死で他の誰かになろうとしている。
自分のルーツはどこにあるのだろう。
わたしの髪は黒い。
きっと美容院で高いお金を出して染めたところで、3日もカラーは維持できない。
だけど同時に、髪を褒めてくれる人がたくさんいた。
染めるのが勿体無いと言ってくれる人がいた。
それはきっとわたしの強みなんだろう。
髪が黒々として、肌が黄色くて、瞼の重たい日本人体型の自分が、弱みではなく強みなんだろう。日本を出て、アジア人の少ない地域に行けば、それが自分にしかないアイデンティティとして自尊できる武器となるだろう。
誰かになるために美しくなる努力は捨てよう。
わたしがわたしらしく、美しく生きるためにアップデートしていこう。